はじめに
ベトナムの街中を見渡せば、バイクが川のように流れる光景が広がっています。実際、国内の登録車両の93%を二輪車が占めており、その総数は7,700万台を超えています。建設や内装工事のプロフェッショナルである皆様にとっても、バイクは単なる通勤手段ではなく、現場へ資材や道具を運ぶための重要な「パートナー」でしょう。
しかし、長尺物である「はしご」や「脚立」をバイクで運ぶ際、ヒヤリとした経験はないでしょうか? バイクの後ろに不安定に括り付けられた脚立は、バランスを崩しやすく、転倒や接触事故の大きな原因となります。事実、ベトナムの交通事故死者数の90%はバイク事故に関連しており、その多くが不安全な運転や積載に起因しています。
本記事では、「とりあえず運べればいい」という従来の意識を変え、ご自身と周囲の安全を守るための「正しい運搬知識」と、それをサポートする長谷川工業(Hasegawa)のソリューションを解説します。
バイク運搬に潜む「3つのリスク」と法的規制
現場への移動中、無意識に行っている運搬方法が、実は法律違反であり、重大な事故リスクを抱えている可能性があります。ここでは、ベトナムで活動する職人が知っておくべき3つのリスクを整理します。
1. 道路交通法による積載制限(Circular 46/2016/TT-BGTVT)
ベトナム運輸省が定める通達「Circular 46/2016/TT-BGTVT」第19条では、バイク(二輪車)の積載制限が明確に規定されています。これを超過すると、交通警察による取り締まりの対象となります。
- 幅の制限: 荷台(またはハンドル)の左右端から0.3メートル(30cm)を超えてはみ出してはいけません。
- 後方の制限: 荷台の後端から0.5メートル(50cm)を超えてはみ出してはいけません。
- 高さの制限: 地面から1.5メートルを超えてはいけません。
もし、一般的な長いはしごを横向きに積んだり、過度に後ろにはみ出して積載したりした場合、400,000〜600,000 VNDの罰金が科される可能性があります(Decree 100/2019/ND-CPおよびDecree 123/2021/ND-CPに基づく)。罰金コストだけでなく、車両の一時没収や免許停止のリスクも考慮すべきです。
2. 物理的リスク:バランスと視界
物理的な危険性も無視できません。脚立のような長尺物は、風の影響を強く受けます。
- 横風の影響: 橋の上や広い通りで横風を受けると、軽量なバイクは簡単にバランスを崩します。
- 慣性モーメント: 重い脚立を高い位置や後方に積むと、重心が高くなり、カーブを曲がる際やブレーキ時にバイクが制御不能になりやすくなります。
- すり抜けの危険: ベトナム特有の混雑した交通事情では、横にはみ出した脚立が他のバイクや歩行者に接触する事故が多発しています。
3. 製品へのダメージ
「運んでいる間に道具が壊れる」こともあります。バイクの振動や路面の凹凸による衝撃は、適切に固定されていない脚立の接合部(リベット)や可動部にダメージを与えます。一見無傷に見えても、金属疲労が蓄積し、いざ現場で使用する際に破損して転落事故につながる恐れがあるのです。
安全・確実に運ぶための「プロの固定術」
リスクを理解した上で、どうしてもバイクで運搬する必要がある場合、プロフェッショナルとして実践すべき固定テクニックがあります。
固定具の選び方と結び方
多くの人がゴム紐(Dây thun)だけで済ませがちですが、これだけでは不十分です。ゴムは伸縮するため、走行中の振動で荷物がズレ動き、バランスを崩す原因になります。
- ラッシングベルトの併用: 伸縮しない「ラッシングベルト(荷締めベルト)」を使用し、脚立を荷台に完全に密着させて固定します。これにより、脚立とバイクが一体化し、挙動が安定します。
- 2点固定の原則: 前方と後方の少なくとも2箇所で固定し、回転(ズレ)を防ぎます。
- 養生(保護): 脚立と荷台が接触する部分には、布やゴム板を挟みましょう。これは脚立の傷防止だけでなく、滑り止めの効果もあります。
走行時のマナーと注意点
- 重心を下げる: 可能な限り低い位置に積載します。シートの後ろに高く積み上げるのではなく、専用のサイドキャリア等を活用し、重心を地面に近づけることが安定走行の鍵です。
- 「はみ出し」の明示: やむを得ず後方にはみ出す場合は、赤い布や反射材を脚立の先端に取り付け、後続車に注意を促すことがマナーであり、安全対策です。
バイク移動に最適なハセガワのソリューション
安全な運搬の基本は「適切な道具選び」から始まります。長谷川工業(Hasegawa)の製品は、日本の厳しい現場で鍛えられた品質に加え、ベトナムの移動手段にも適した特徴を持っています。
「軽さ」は安全性能:脚軽(Ashigaru)シリーズ
「脚立は重いもの」という常識を覆したのが、ハセガワの「脚軽(Ashigaru)」シリーズです。
- 圧倒的な軽量性: 例えば、3尺タイプ(RZ-09c)の重量はわずか3.4kg、4尺タイプ(RZ-12c)でも4.2kgです。これは一般的な脚立と比較して最大30%も軽量です。
- バイク操作への貢献: 荷物が軽いということは、それだけバイクの重心移動がスムーズになり、低速走行時のふらつきや転倒リスクが劇的に減少することを意味します。片手で軽々と持てる軽さは、積み下ろしの負担も軽減し、職人の体力を温存します。
機動力の最大化:伸縮・折りたたみモデル
法規制(長さ・高さ制限)をクリアするためには、コンパクトに収納できるモデルが最適です。
- 伸縮脚立: 「脚軽」シリーズや「RYZB」などの伸縮脚立は、使用時は高く、移動時はコンパクトになります。これにより、バイク積載時の「はみ出し」を最小限に抑え、警察の取り締まりリスクや接触事故リスクを低減できます。
- スタイリッシュな選択肢: デザイン性を重視した
lucanoシリーズなどは、折りたたんだ際の形状がフラットで美しく、積み重ねや固定が容易です。
ハセガワの信頼性:運搬中も現場でも「頼もしさ」を
ハセガワ製品が選ばれる理由は、単なるスペックだけではありません。「乗ればわかる、頼もしさ」というブランドメッセージの裏には、過酷な品質テストがあります。
振動に負けない耐久試験
ベトナム・ダナンの工場を含む世界4拠点の試験センターでは、JIS(日本産業規格)やSG(製品安全協会)基準に基づいた厳格な試験が行われています。
- 繰り返し試験: 10万回以上の昇降繰り返し試験を実施し、リベットや金具の耐久性を検証しています。
- 振動への耐性: この頑丈な構造は、ベトナムの悪路をバイクで移動する際に受ける激しい振動に対しても、高い耐久性を発揮します。安価な製品では移動中の振動でガタつきが生じることがありますが、ハセガワの脚立はその「強さ」を維持し、現場に到着した後も変わらぬ安全を提供します。
まとめ
ベトナムの現場において、バイクでの資材運搬は避けられない現実です。しかし、そのリスクを放置することは、プロフェッショナルとしてのキャリアを危険に晒すことと同義です。
- 法令遵守: 積載制限(幅30cm、後方50cm以内)を守り、罰金と事故を防ぐ。
- 確実な固定: ゴム紐だけでなく、ラッシングベルトで「動かない」ように固定する。
- 最適な道具: ハセガワの「脚軽」のような、軽量かつコンパクトな製品を選ぶことで、運転の安定性を確保する。
「安全」は現場だけで守るものではなく、現場に向かう道中から始まっています。ハセガワの製品は、その道中の安全までもサポートする、頼れるパートナーです。