不陸・傾斜床での安定性設計──レベラー/スタビライザー/固定(結索)の最適化

はじめに

本記事は、製造・建設・物流現場の管理者や安全担当者の皆様を対象に、不陸や傾斜がある床面での脚立・作業台設置時に潜む転倒・滑落リスクとその防止策を解説します。現場データをもとにした課題背景の把握から、レーザー測定や実地検証で捉えた不安定要因を整理。レベラーやスタビライザー、固定(結索)といった安定化設計手法をステップごとに紹介し、ハセガワが追求する品質×安全の視点で選定基準を示します。実務に即したノウハウをお届けし、事故ゼロの現場づくりをサポートします。具体的な製品スペック比較や導入事例を通じ、現場での最適設計を支援します。これらの知見をもとに、安全かつ効率的な作業環境構築へとつなげましょう。

課題と背景

労働災害データに見る、不整地作業の危険性

ベトナムにおける労働災害は深刻化しており、2024年には全国で8,286件の労働災害が発生。これは前年比で892件(約12%)の増加です。被災者数は8,472人(前年比+919人、約12%増)にのぼり、うち死者数は727人(前年比+28人)、重傷者は1,690人(前年比−30人)となっています。

同年の事故による経済損失は43兆VND(約16.8億USD)に達し、その主因は医療・補償費用、設備破損、そして生産停止による機会損失です。こうした災害は建設業・製造業・物流業に集中しており、特に高所作業が多い建設業では死亡・重傷事故の比率が高い傾向にあります。国際労働機関(ILO)の報告によると、建設業は全労働災害死亡の約20%を占め、その主要因として「転落」が挙げられています。

脚立・作業台の転倒が招く、深刻な事故と経済的損失

不陸や傾斜のある床面では、脚立や作業台の四隅にかかる荷重が不均一になり、摩擦力が弱い箇所で滑りや回転が起きやすくなります。CSA Groupの調査では、脚立事故の12%が不安定な設置(不整地・傾斜面)に起因すると報告されています。

また、米国労働安全衛生局(OSHA)も、不均等な設置による転倒リスクを主要因とみなし、平坦な床面での使用を徹底するよう指導しています。事故は骨折や脊髄損傷といった重篤なケガにつながり、実際に2022年の米国では865人が転倒・転落事故で死亡しています。さらに、こうした事故は労働者賠償費用の12〜15%を占め、1件あたり平均約4万USDの補償コストが発生。機材の破損や生産ラインの停止を含めれば、経済的損失は甚大です。

製品・サービス紹介

ハセガワは、不整地や傾斜床での作業安定性を高めるため、レベラー、スタビライザー、固定(結索)をワンセットにしたソリューションを提供しています

特長

  • レベラー:脚立や作業台の脚に装着し、床面の傾斜±30°(7/12ピッチ)に対応。最大荷重227kgまで支持可能です。クリック式の微調整機構により、1ステップ0.5°刻みで素早く水平出しを実現します。設置は各脚わずか2秒とスピーディです。
  • スタビライザー:3点爪プレート構造が不整地にしっかりと食い込み、摩擦パッドが滑りを抑制。幅調整機能(300~500 mm)付きで各種脚立に適合し、高荷重時も安定性を発揮します。
  • 固定(結索):高強度ポリエステル製ラッシングベルトは、最小破断強度500kgをクリア。1,632kgまで対応するProof-tested D-ringsを用いた三点結索により、荷重を均等に分散させ、一脚あたりの張力を1/√3に低減します。

導入事例(Before → Action → After)

  • 事例A(製造工場)
    • Before:傾斜3°の床面で脚立が頻繁にズレ、作業中断が常態化。
    • Action:レベラー+結索+専用スタビライザーをフル導入。
    • After:設置後のズレはゼロになり、作業効率が18%向上、事故ゼロを達成。
  • 事例B(物流倉庫)
    • Before:不陸20mmの床で作業台がグラつき、作業者のヒヤリハットが多発。
    • Action:高荷重対応スタビライザーを採用し、結索で固定。
    • After:安定性が25%向上し、保守コストを削減。継続的な安全性を確保。

ハセガワの信頼性

ISO認証に裏付けられた、徹底した品質管理体制

長谷川工業株式会社は、国内工場(大阪・群馬・西脇)でISO 9001/ISO 14001を取得・統合運用し、STAMEQ傘下のQuacert認証機関より年1回の外部監査を受審しています。ベトナム工場(2013年設立)も国家規格TCVN ISO 9001:2015に基づく品質マネジメントシステムを構築し、品質不適合率0.08%を達成しています。

品質方針として「お客様の安心を第一に、常に品質と安全を追求する」ことを掲げ、全社で月次品質ミーティングを開催しています。内部監査員20名による年2回の内部監査で是正処置完了率100%を維持。製品開発では3回の設計レビューとFEM解析(実機静荷重試験との相関係数R² ≥ 0.98)を実施し、安全係数1.5以上を標準値としています。

現場の課題を解決する、カスタム対応とサポート体制

HASEGAWA VIET NAM COMPANY LIMITEDは、現地に技術者8名を配属し、レーザー3Dスキャナーによる床面不陸測量とCAD/3Dモデル設計サービスを無償で提供。オーダーメイド品の生産能力は月間1,000台、平均納期は15営業日以内です。

アフターサービスは24時間ホットライン体制を整備し、6か月間の無償点検・現地再評価を実施。年間50件の現場技術支援レポートを提出し、顧客からの改善要望に基づく製品改良サイクルは平均3か月以内、顧客推奨度(NPS)は65を記録しています。また、ベトナム工業規格TCVN 6393:2008(脚立・はしご安全基準)に準拠した設計ガイドラインを提供し、80社を超える導入実績があります。

まとめ

本記事では、不陸や傾斜のある床面での脚立・作業台設置における転倒・滑落リスクを抑えるための最適設計ステップを解説しました。まずレーザー測定で床面状態を正確に把握し、レベラーで±30°の傾斜を素早く水平補正。次にスタビライザーで接地面の摩擦力を高め不整地でも滑りを防ぎ、最後に高強度ラッシングベルトによる結索で各脚に荷重を均等分散・固定します。これら3段階のアプローチが、安全かつ効率的な高所作業環境を実現します。詳細な技術資料や無料現場診断、製品カタログのご請求はハセガワベトナム公式サイトをご覧ください。