はじめに
ベトナムの製造、建設、物流の各現場において、高所作業の安全性と効率は企業の競争力を左右する重要な要素です。作業中に使用する「脚立」は、単なる道具ではなく、作業員の安全を支え、作業の生産性を保証する最も重要な資産の一つと言えます。現場監督者や安全管理者の皆様にとって、最も頭を悩ませる課題の一つが、「限られたスペースへの収納」と「多様な地形への安定した設置」の両立です。この課題を解決する鍵が、脚立の構造的なタイプ、すなわち「折りたたみ式」と「伸縮式」の戦略的な使い分けにあります。
本記事では、ベトナムの急速に変化する現場環境に対応するため、収納性に特化した折りたたみ式と、設置安定性に優れる伸縮式の選定基準を、具体的な国際安全規格(JIS、ANSIなど)への適合性の観点から解説します。日本の長谷川工業の製造哲学と、その継承者であるハセガワベトナムが提供するソリューションを通じて、皆様の現場における「安全性」「効率性」「収納性」の向上に貢献します。
課題と背景:ベトナムの現場で高まる要求水準
市場データ:建設・物流部門の成長と安全管理の必要性
ベトナム経済の成長は、インフラ建設と製造業の活況に支えられています。特に、インフラ部門への投資は継続的に行われており、高層ビル、工場、倉庫などの建設が増加しています。これにより、現場での高所作業の頻度と複雑性が高まり、同時に労働安全衛生(OHS)への要求水準も国際的に高まっています。
ベトナム国内市場で求められる安全基準は、国際的なサプライチェーンへの組み込みにより、JIS(日本工業規格)やANSI(米国国家規格協会)といった国際的な規格への適合が不可欠となっています。これらの規格は、製品の寸法、構造、耐久性に関する厳格な要件を定めており、単に安価な製品を選ぶのではなく、国際認証を取得した信頼性の高いサプライヤーからの調達が、企業のコンプライアンス維持に直結しています。
安全基準に適合しない脚立の使用は、単なる製品の故障に留まらず、作業員の転落事故を引き起こし、企業に甚大な賠償責任やイメージ低下といったリスクをもたらします。ベトナムの現場において、国際基準に適合した高品質な脚立を選定することは、もはやコストではなく、リスクマネジメントの最重要事項なのです。
リスク提示:収納性・設置性不足が招く現場の危険
現場の安全は、脚立が「正しく使われる」ことによって初めて保証されます。しかし、脚立の構造的な問題が、作業者による不適切な使用を誘発し、危険な状況を生み出すことがあります。
- 不適切な高さの選択: プロの作業環境では、脚立の高さが作業者の身長や作業箇所から1m以上低いことが理想的とされます。大きすぎる脚立は持ち運びや収納に不便なため、作業者は本来必要な高さよりも低い脚立で無理な姿勢をとってしまいがちです。
- 段差・傾斜地での不安定な設置: 建設現場や倉庫の床は常に平坦ではありません。段差や傾斜がある場所で、脚の長さが固定された脚立を使用すると、安定性が極度に低下します。本来は垂直に設置すべきところを、作業者がレンガや木片を下に敷いて「かさ上げ」を行う例が後を絶ちませんが、これは重大事故の典型的な原因となります。
- 収納スペースの浪費と非効率: 脚立の収納性が低いと、通路や隅に積み重ねられ、現場の動線を塞いでしまったり、作業開始前の持ち運びや準備に時間を要したりします。これは作業効率を低下させるだけでなく、整理整頓の妨げとなり、思わぬ二次災害を引き起こすリスクを高めます。
これらのリスクを排除するためには、使用環境に合わせて「折りたたみ式」と「伸縮式」を戦略的に使い分ける必要があります。
製品・サービス紹介:折りたたみ式と伸縮式の戦略的活用
特長:使用環境で使い分ける脚立の形状
プロフェッショナル向け脚立メーカーである長谷川工業は、現場の課題を解決するために、用途に応じた独自の製品シリーズを展開しています。特に「収納性」と「設置安定性」を極めた二つの構造は、ベトナムの現場管理者に強力なソリューションを提供します。
1. 折りたたみ式:軽量・コンパクトで収納性に特化
折りたたみ式脚立は、その持ち運びの容易さと省スペース性が最大の特長です。
- 軽量性: アルミ製の軽量設計により、頻繁な場所移動が要求される物流倉庫や工場内での点検作業に最適です。
- 高い収納性: 長谷川工業の代表的な製品ラインナップ(例:
脚軽シリーズ、lucanoシリーズ)は、折りたたみ時の厚みがわずか48mm程度に抑えられており、狭い場所やトラックの荷台にも効率的に収納できます。 - 用途: 倉庫の在庫管理、店舗での陳列作業、オフィスや家庭での清掃・DIYなど、平坦な屋内で頻繁に持ち運ぶ環境に最適です。
2. 伸縮式・調節脚付き:不安定な環境での安定性に特化
伸縮式脚立(または調節脚付き脚立)は、設置面の安定性を極限まで高めるために設計されています。
- 設置の水平性確保: 脚の長さをそれぞれ独立して調節できる機能により、階段や傾斜地、凹凸のある建設現場の床など、不安定な場所でも脚立を完全に水平に設置することが可能です。
- 安全性への貢献: 不安定な場所でも無理なく作業できるため、事故の原因となる「かさ上げ」を不要とし、作業の安全性と効率を飛躍的に向上させます。
- 用途: 建設現場の躯体工事、外壁補修作業、傾斜のある工場敷地でのメンテナンスなど、設置環境が不安定なプロフェッショナルな現場に不可欠です。
導入事例(Before → Action → After)
あるベトナムの建設現場の事例では、資材運搬と構造物の設置時に、現場の土台の段差と傾斜が深刻な課題となっていました。
- Before(課題): 従来の固定脚の脚立では、段差のある場所に設置する際、作業員が片側の脚の下にレンガを敷いて高さを調整していました。この作業は毎回約3分を要し、しかもわずかな振動でレンガがずれる転倒リスクを常に抱えていました。
- Action(解決策): 長谷川工業の伸縮脚付き製品、
シャガマンシリーズを導入。この製品は、作業者が立ったままワンタッチで脚の長さを調整できる「ワンタッチバー」機能を備えています。 - After(成果): 不安定な場所での設置時間が平均90秒以下に短縮されました。作業員は安定した足場で作業できるため、心理的な不安が解消され、作業効率が向上。導入後の1年間で、高所作業における軽微な転倒・よろめき事故の報告件数が80%減少しました。
ハセガワの信頼性:国際規格を超越する「安心の哲学」
長谷川工業、そしてその完全子会社であるハセガワベトナムが選ばれる理由は、単に製品の機能性だけではありません。その根底には、「日本の職人技と国際規格を超越する安全への哲学」があります。
品質管理・認証:日本の職人技と国際規格の融合
- 試験センター数: 世界4カ所(日本、中国・東莞、ベトナム・ダナンなど)
- 月間実施試験回数: 250回以上
- 耐久性試験基準: 週5日、1日100回の昇降を想定した10万回超の繰り返し試験
- ベトナム製品の輸出先: 日本(40.89%)、香港(41.33%)、アメリカ(16.89%)
- ベトナムでの生産開始年: 2014年
引用元: [長谷川工業株式会社 レポート]
ハセガワベトナムは、2014年の生産開始以来、日本の長谷川工業の厳格な品質管理システムをベトナム・ダナン工場に完全に導入しています。製造された製品は、日本のJISやSGマーク、そしてアメリカのANSIなど、世界でも最も要求の厳しい規格をクリアしています。
しかし、ハセガワの真の強みは、こうした公的な規格試験の基準を自社基準でさらに超える点にあります。これが「乗ればわかる、頼もしさ。」という製造哲学です。
- 数値化できない品質の追求: 脚立の「揺れ」「音」「たわみ」といった感覚的な要素は、数値データだけでは完全に捉えられません。長谷川グループは、製品の設計段階から「人が実際に乗って確かめる」ことを徹底し、使用者(プロの職人)が不安を感じない、揺るぎない安定性を追求しています。
- グローバルな品質保証体制: ダナン工場は、日本、中国の東莞と並び、長谷川グループが世界に持つ4カ所の主要試験センターの一つとして位置づけられています。この体制により、ベトナムで製造された製品であっても、月間250回を超える厳格な実機試験と「10万回を超える昇降耐久性試験」が保証されています。
特注対応・サポート体制
ハセガワベトナムの製造物は、その多くが日本、香港、アメリカといった国際的な要求水準の高い市場に輸出されています。特に、輸出先の約41%が日本、約17%がアメリカを占めているという事実は、ベトナムのダナン工場が、長谷川グループのグローバルサプライチェーンの中核として、極めて重要な役割を担っていることの明確な証明です。
このグローバルな製造・輸出実績は、ベトナム国内のお客様に対しても、高い信頼性と、以下の柔軟なサポート体制を約束します。
- 特殊なニーズへの対応: ロジスティクス用のアルミニウム製台車や、工場・倉庫向けのカスタムメイドのアルミ製品など、現場の特殊な作業環境や寸法要件に合わせた特注品の製造に対応可能です。
- 迅速な供給: ベトナム国内に製造拠点を置くことで、輸入ブランドにはない迅速な供給体制と、製品に関する技術サポートを現地語で提供できます。
まとめ
ベトナムの製造・建設・物流業界で、高所作業の安全性と効率を最大化するためには、脚立の構造的な特性を理解し、現場環境に合わせて戦略的に選定することが不可欠です。
- 収納性の課題: 折りたたみ式の軽量でコンパクトな構造(例:
脚軽シリーズ)を活用し、移動と保管の効率を最大化する。 - 設置安定性の課題: 伸縮式の調節脚付き構造(例:
シャガマンシリーズ)を選択し、階段や傾斜地などの不安定な場所での水平設置を保証する。
ハセガワベトナムは、単に「ベトナム製の製品」を提供するのではなく、「日本の職人技と国際規格を超える独自の安全哲学」に基づいて製造された製品を、ダナン工場からグローバル市場へ、そしてベトナム国内のプロフェッショナルへ直接お届けします。国際基準の安全性、耐久性、そして現場の課題を解決する機能性を備えたハセガワの脚立は、皆様の現場のコンプライアンス維持と生産性向上に貢献します。
現場の安全診断、最適な脚立の選定に関するご相談は、ハセガワベトナムまでお気軽にお問い合わせください。