はじめに
ベトナムでは都市化の急速な進行と製造・建設・物流業の拡大により、梯子や脚立の需要が年々高まっています。しかし、調達担当者が直面するのは単純な価格競争ではなく、安全性・耐久性・コストの三要素をどのように最適化するかという難題です。輸入品は国際規格に準拠した高品質が魅力ですが、輸送費や関税の負担が大きく、納期も長くなりがちです。一方、現地生産品は短納期と低コストが強みながら、規格適合や耐用年数にばらつきが見られることも。本稿では統計データや規格比較、そして実例を交え、現場の安全と業務効率を両立させる調達戦略を詳しく解説します。
ベトナム市場の動向と背景
市場データと輸出入傾向
2024年の統計によれば、ベトナムの梯子・脚立輸出額は前年比12%増加し、日本や米国が主要な輸出先です。国内では高層ビル建設やインフラ整備、物流拠点の新設が進み、工場保全や倉庫作業用の製品需要が拡大しています。また、輸出向け製品は現地の安全規格に加え、輸出先国の規格を満たす必要があるため、高い製造管理レベルが求められています。
安全規格と法令
ベトナム労働安全衛生法(2015年改正)では、高さ2m以上の作業で安全帯の着用が義務付けられています。梯子の安全規格はTCVN 7659-1:2007で、EN131に準拠していますが、JISやISOと比較すると耐候性試験や耐荷重試験の細部に差異があります。多国間で運用される製品は、複数規格への適合が必須となります。
調達におけるコストと品質の評価基準
コスト要因
素材選定は価格と性能のバランスに直結します。アルミは軽量で防錆性に優れ、比較的安価。FRP(繊維強化プラスチック)は絶縁性と耐腐食性が高く、化学プラントや電気設備現場で重宝されますが、価格はアルミより高めです。現地生産は関税ゼロと輸送コスト削減で価格優位ですが、輸入は為替変動や物流費の影響を受けやすい構造です。
品質要因
150kg以上の耐荷重や10年以上の耐久性、そして耐候性ラベルの有無は、現場の安全性を左右します。ハセガワはISO9001認証のもと、全製品でJIS・EN規格を満たし、長期使用に耐える設計と品質保証体制を整えています。
ハセガワベトナムの製品と強み
主力製品ラインナップ
アルミ製脚立や踏台、作業台、足場板に加え、電気工事や化学工場向けのFRP梯子を製造。全製品が国際規格に適合しており、多様な現場ニーズに対応可能です。
生産体制と将来計画
現行の年間生産能力は数万台規模で、5年以内に3倍へ拡大予定。特注対応や急な需要増にも対応できる柔軟な生産ラインを有し、過去には物流企業向け特注脚立の納期を従来の2カ月から3週間に短縮した事例があります。
事例:現地調達でのコスト削減と安全性向上
Before:日本からの輸入依存で高コストかつ平均納期2カ月。現場では交換サイクルの遅延が頻発。
Action:ハセガワベトナムに切り替え、特注仕様を現地で短納期生産。輸送距離短縮で在庫圧縮も実現。
After:総コスト15%削減、納期3週間、安全規格完全適合。現場作業効率が20%向上し、事故率も低下。
調達成功のためのチェックポイント
- 発注から納品までのリードタイムを常に把握し、需要変動に備える。
- TCVNやJIS、ENなど規格適合証明の有無を確認し、輸出・多拠点展開に対応可能か評価する。
- 購入価格に加え、メンテナンスや交換サイクルなど長期的な総コストを試算する。
まとめ
ベトナムでの梯子・脚立調達では、現地生産のコストメリットと国際規格適合による品質保証の両立が成功の鍵です。ハセガワベトナムは高い生産力と厳格な品質管理を背景に、調達担当者が直面する「コスト・品質・納期」の課題を同時に解決するパートナーとなり得ます。これにより、安全で効率的な現場運営と長期的なコスト最適化が実現します。