ユーザー事例から学ぶ:安全性・耐久性を評価するチェックポイント

はじめに

製造業・建設業・物流業など、日常的に脚立やはしごを使用する現場の管理者や安全担当者を対象に、本記事では事故防止と作業効率向上のためのポイントを解説します。現場では、誤った使い方や経年劣化、用途に合わない製品選定によって、転落や破損など重大な事故が発生することがあります。ここでは、実際の事故事例をもとに安全性・耐久性評価の重要性を掘り下げ、導入時に確認すべきチェックポイントを明確にすることで、事故の未然防止と作業効率向上を目指します。

市場と事故の現状

国内外の統計データ

日本国内では、NITE(製品評価技術基盤機構)の調査によると、2017〜2021年の5年間で「はしご・脚立」に関する事故は162件発生し、その約半数が誤使用や不注意によるものでした。厚生労働省の労災統計では、脚立由来の災害の約86%が墜落・転落であり、骨折など重篤な傷害に至るケースも多く報告されています。

一方、ベトナムでも労働安全衛生法やTCVN規格によって高所作業用機材の安全基準が定められていますが、現場では旧型設備や規格非適合品の使用が残っている事例も見られます。現地調達時には、国際規格(JIS、EN、ANSIなど)に準拠した製品かを確認することが重要です。

事故の特徴と傾向

統計からは、高齢者が関与する事故が目立ち、特に60歳以上が全体の40%以上を占めています。また、発生形態としては墜落・転落が86%を占め、その結果として骨折が全体の約3分の2を占める深刻な状況です。これらの数字は、正しい使用方法と適切な製品選定、そして継続的な点検・教育の必要性を強く示しています。

Data Box

指標 出典
はしご・脚立事故件数(日本・5年) 162件 NITE 2022
誤使用・不注意割合 約50% NITE 2020
脚立労災に占める墜落転落率 約86% 厚労省 2015
骨折割合(脚立事故) 約66% 厚労省 2015
SG/A/JISマーク付き製品推奨率 100% NITE

ユーザー事例から見る事故原因と改善策

誤使用・不注意

現場で多く見られるのは、脚立の天板をまたいだり、昇降面から身体を横方向に大きく乗り出す、あるいは傾斜地や不安定な場所に設置するといった誤使用です。ハセガワのヒヤリハット事例集でも、こうした行動が転落やバランス崩壊を招く典型的要因として複数報告されています。例えば、壁面作業中に天板をまたいだ際、片足になる瞬間にバランスを失って転落したケースや、重い荷物を持ったまま脚立上で横方向へ作業し脚立ごと傾いた事例があります。

製品劣化・用途不適合

事故の一因として、屋外保管によるアルミ部材の腐食や接合部の緩みが進行し、踏み板が外れるケースが挙げられます。また、家庭用の軽量脚立を工場や建設現場など高負荷環境で使用し、耐久性不足から破損・転落につながった事例もあります。これらは、使用環境と製品仕様の不一致が引き起こす典型例です。

改善策と即実践ポイント

こうした事故を防ぐには、毎回の使用前点検で踏み板・支柱・固定具の状態を確認し、腐食や変形があれば直ちに使用を中止することが重要です。保管は直射日光や雨水を避けた場所で行い、使用目的に応じて業務用規格品やFRP製、アウトリガーなど安全機構付きモデルを選定しましょう。さらに、定期的な安全教育で正しい使用姿勢と禁止行為を周知徹底することが有効です。

耐久性・安全性を評価する導入チェックポイント

製品スペック確認項目

導入前には、製品の材質や最大荷重性能、耐腐食性、滑り止め性能など基本性能を細かく確認する必要があります。特に、屋外作業や化学薬品が飛散する現場では、アルミ合金やFRP(繊維強化プラスチック)といった耐久性の高い素材が推奨されます。また、JIS、SG、Aマークなどの規格適合表示は、安全性を保証する重要な指標です。

使用環境との適合性

脚立・はしごは使用環境によって最適な仕様が異なります。屋外使用では耐候性、室内では軽量性や床面保護性能、化学薬品環境では耐薬品性、電気作業では絶縁性能を備えたFRP製品が求められます。現場条件と製品仕様のマッチングを怠ると、耐久性低下や重大事故のリスクが高まります。

メンテナンス計画

耐久性と安全性を長期間維持するためには、定期点検サイクルを明確にし、踏み板や接合部の緩み、腐食、摩耗を早期に発見する仕組みが不可欠です。また、交換部品の入手性やメーカーのサポート体制も導入前に確認しておくと、長期運用時のダウンタイムを最小限に抑えられます。

ハセガワの信頼性と導入事例

品質管理と安全講習

ハセガワでは、全ての製品を工場出荷前に厳格な品質検査にかけ、ISO認証を取得した工程管理で製造しています。さらに、現場導入後もユーザー向けに安全講習会や作業現場での安全診断サービスを提供し、使用方法の改善や危険箇所の特定を支援しています。これにより、製品性能だけでなく使用環境全体の安全性向上を実現しています。

導入事例(Before→After)

ある製造業の現場では、従来使用していた規格外の脚立をハセガワ製業務用モデルに更新した結果、1年間で脚立関連のヒヤリハット報告が70%減少しました。また、滑り止め性能の向上や軽量化により作業効率が約15%改善し、部品交換や修理コストも大幅に削減されています。こうした数値は、適切な製品選定と安全教育の組み合わせがもたらす効果を具体的に示しています。

まとめ

本記事では、はしご・脚立の安全性と耐久性を確保するために、製品選定と運用管理の両面からのアプローチが不可欠であることを、統計データやユーザー事例を交えて解説しました。事故の多くは誤使用や不適切な製品選びが原因であり、チェックリストによる日常点検や適切な製品規格の確認が事故防止の鍵となります。社内での周知と教育を徹底し、安全文化を根付かせることが、現場の効率と安心を両立させる第一歩です。詳細な仕様や事例はハセガワ公式資料・動画も参照してください。