ベトナムの湿気に負けない!プロが教えるアルミはしご・脚立の「白サビ」防止とメンテナンス術

はじめに

ベトナムの建設・製造現場において、資材管理の最大の敵は何でしょうか。それは目に見えない「湿気」です。特に雨季(5月〜10月頃)には、湿度が連日80%を超え、金属製品にとっては極めて過酷な環境となります。

「アルミはサビないから大丈夫」——そう考えて、高価なアルミ製はしごや脚立を屋外に放置していませんか? 実は、それは大きな誤解です。アルミニウムも特定の条件下では「白サビ(水和酸化物)」と呼ばれる腐食が発生します。特にベトナムのような高温多湿な環境では、購入からわずか数ヶ月で表面が粉を吹いたように白く変色し、最悪の場合は可動部の固着や強度の低下を招くリスクがあります。

本記事では、長谷川ベトナム(Hasegawa Vietnam)が、プロフェッショナルな視点から「なぜベトナムでアルミが腐食するのか」を科学的に解説し、機材の寿命を延ばして現場の安全を守るための具体的なメンテナンス術を伝授します。JIS規格(日本産業規格)に準拠した正しい知識で、あなたの現場の「安全資産」を守りましょう。

なぜベトナムでアルミが腐食するのか? 科学的メカニズム

ベトナムの過酷な気候データ

金属の腐食において、最も重要な指標の一つが「臨界相対湿度(Critical Relative Humidity: CRH)」です。一般的に、アルミニウムの腐食速度は相対湿度が65〜75%を超えると急激に加速することが研究で示されています。

一方、ベトナム南部のホーチミン市や北部のハノイ市の気候データを見てみましょう。ホーチミン市の月平均湿度は乾季でも約70%、雨季には85%以上に達します。つまり、ベトナムの環境下では、年間を通じてほぼ常にアルミニウムの腐食が進行しやすい「危険域」にあると言えます。

さらに、ダナンやハイフォンなどの沿岸地域では、海からの塩分(塩化物イオン)を含んだ風が吹き込みます。湿気と塩分が結びつくと、強力な電解質溶液となり、アルミ表面の保護膜を破壊するスピードが内陸部の数倍に跳ね上がります。

「白サビ」の正体とリスク

アルミニウムの表面は、通常、薄くて緻密な「酸化被膜(Al₂O₃)」で覆われており、これがバリアとなって内部を守っています。しかし、高温多湿な環境で長時間水分が付着し続けると、この被膜が化学反応を起こし、「水酸化アルミニウム(Al(OH)₃)」などに変化します。これが、表面に見られる白い粉状の物体、「白サビ」の正体です。

白サビ自体には、それ以上の腐食進行を抑える自己保護作用も多少ありますが、放置すべきではありません。以下のリスクがあるからです。

  1. 機能不全: はしごの伸縮部分や脚立の開閉金具(リベット周辺)に白サビが詰まると、動きが渋くなり、無理な操作による破損の原因になります。
  2. 汚染: 作業者の手袋や衣服、さらには内装現場の壁紙などを白く汚してしまいます。
  3. 信頼性の低下: 顧客や施主の目には「管理の行き届いていない汚れた道具」と映り、プロとしての信頼を損ないます。

今すぐできる!プロ推奨のメンテナンス・ルーティン

高価な機材を買い替えるコストを削減し、安全性を維持するために、現場で実践すべき3つのステップを紹介します。

1. 日常のクリーニング:基本は「拭き取り」

最も効果的で、かつ最も見落とされがちなのが「使用後の乾拭き」です。

  • 泥・ホコリの除去: 泥やモルタルには水分や塩分が含まれていることが多く、付着したままにすると局所的な腐食(孔食)の原因になります。作業後は必ずブラシや雑巾で落としてください。
  • 水洗いの注意点: 汚れがひどい場合は水洗いが有効ですが、必ず中性洗剤(食器用洗剤を薄めたもの)を使用してください。酸性やアルカリ性の洗剤は、アルミの保護被膜(アルマイト)を溶かしてしまうため厳禁です。
  • 完全乾燥: 水洗い後は、乾いた布で水分を完全に拭き取り、風通しの良い場所で乾燥させてください。伸縮はしごの場合は、パイプの内部に水が残らないよう特に注意が必要です。

2. 保管環境の改善:湿気を閉じ込めない

「雨に濡れないように」と、ブルーシートで厳重にはしごを包んで保管していませんか? 実はこれは逆効果になることがあります。

  • 通気性の確保: シートで密閉すると、地面からの湿気が内部にこもり、昼夜の温度差で「結露」が発生します。これが白サビの温床となります。保管時は通気性のあるカバーを使用するか、軒下などの雨が直接当たらない風通しの良い場所に、壁から離して立てかけるか、ラックに水平に収納してください。
  • 地面から離す: 土の地面に直接置くと湿気を吸い上げます。スノコやパレットの上に置き、空気の通り道を確保しましょう。

3. 既に発生した白サビの対処法

もし白サビが発生してしまった場合でも、軽度であればリカバリーが可能です。

  • 除去: 市販のナイロン不織布(スコッチ・ブライトなど)の「細目」または「極細目」を使い、サビ部分を優しく磨き取ります。ワイヤーブラシはアルミの地金を傷つけるので避けてください。
  • 保護: 白サビを除去した部分は酸化被膜が薄くなっています。市販のクリアラッカーや防錆スプレーを薄く塗布することで、再発を遅らせることができます。ただし、踏ざん(ステップ)部分への塗装は、滑りやすくなるため絶対に避けてください。

長谷川工業(Hasegawa)の品質が「湿気」に強い理由

市場には安価なアルミ製品も溢れていますが、なぜプロはHasegawaを選ぶのでしょうか。その秘密は「見えない表面処理」と「過酷なテスト」にあります。

徹底した表面処理と品質管理

Hasegawaのはしご・脚立の多くには、JIS規格(JIS H 8601)に基づいた高品質な「アルマイト処理(陽極酸化皮膜)」が施されています。これはアルミの表面に電気的に厚い酸化被膜を生成させる処理で、耐食性と耐摩耗性を飛躍的に向上させます。

安価な製品では、この皮膜が薄かったり、封孔処理(被膜の微細な穴を塞ぐ工程)が不十分だったりすることがありますが、Hasegawa製品は厳格な品質管理のもと、ベトナムの過酷な気候にも耐えうる仕様で製造されています。特に「脚軽(Ashigaru)」シリーズのブラックタイプなどは、特殊な塗装や処理により、デザイン性だけでなく耐候性も高めています。

「乗ればわかる、頼もしさ」を支える設計思想

長谷川工業は、日本、中国に加え、ベトナムのダナン工場にも試験センターを保有しており、これは世界4大試験拠点の一つです。ここでは、JISやSGマークの基準をクリアするだけでなく、月250回以上の厳しい自社基準テストを実施しています。

例えば、湿度や塩分濃度の高い環境を想定した腐食試験や、10万回以上の繰り返し昇降負荷試験を行い、リベット一つひとつの耐久性まで検証しています。ベトナム・ダナン工場で製造される製品は、日本の厳しいプロユーザーに鍛えられた品質基準そのものであり、湿気による劣化を最小限に抑える設計がなされています。

まとめ

ベトナムの高温多湿な環境は、アルミ製品にとって決して優しいものではありません。しかし、適切な知識とメンテナンスがあれば、機材の寿命を大幅に延ばすことができます。

  1. 湿気のリスクを知る: 湿度65%以上で腐食リスクが高まることを理解する。
  2. 基本は「拭き取り」: 使用後は水分と汚れを残さない。
  3. 保管は「通気性」: 密閉せず、風通しを良くする。
  4. 信頼できる製品を選ぶ: アルマイト処理と品質管理が徹底されたHasegawa製品を選ぶ。

メンテナンスは、単なる掃除ではありません。それは現場の事故を防ぎ、作業者の命を守るための「安全投資」です。今日から現場のルーティンを見直し、プロフェッショナルの道具として大切に扱ってみてください。

もし、現在使用している機材の劣化状況に不安がある場合は、カタログで最新の耐久性に優れたモデル(BLACK LABEL脚軽シリーズなど)をチェックすることをお勧めします。