ベトナムにおけるはしご・脚立の安全基準ガイド:適用範囲と実務ポイント

はじめに|現場安全を左右する「はしご・脚立」選定と法令遵守の重要性

ベトナムの製造・建設・物流現場では、高所作業におけるはしご・脚立の安全確保が労働災害防止の要となります。現場責任者や安全衛生担当者はもちろん、設備保全や購買担当も、製品の選定段階から法令遵守を意識する必要があります。特に、国内法令(QCVN 18)と国際的な製品規格(EN 131JIS S 1121 、ANSI A14)との間には適用範囲や要件のズレが存在し、この理解不足が事故リスクを高めています。2024年には労働災害件数の増加も報告されており、高所からの墜落や感電といった重大事故の未然防止が急務です。

本記事では、現場運用の基準となるQCVN 18、墜落防止装備に関するQCVN 23、製品選定の参考となるEN131/JIS/ANSI、教育訓練を義務付けるDecree 44、そして安全使用の原則である角度75°・3点支持について、実務に直結する形で解説します。

課題と背景|事故データと現場での安全リスク分析

市場データ|ベトナムの労働災害統計と高所作業の位置づけ

ベトナム労働傷病統計によれば、2023年の労働災害による死亡者は699人、重傷者は1,720人にのぼり、2024年には事故件数が約8,000件、死者が600〜700人と増加傾向が示されています。特に建設業では高所作業中の墜落が主要な死亡要因の一つであり、現場の安全対策の不備が事故発生に直結しています。こうした背景から、高所作業時に使用するはしごや脚立の選定・管理は、単なる器具調達ではなく、災害防止の戦略的取り組みと位置付けられます。

Data Box(主要統計)

リスク提示|不適切な設置・材質選定・点検不足が招く危険

はしごや脚立の事故は、多くの場合、基本的な使用ルールの未遵守が引き金となります。例えば、角度が急すぎたり緩すぎたりすることで安定性が失われ、転倒や滑落の危険が増します。電気設備近くで導電性の金属製梯子を使用すれば感電リスクが高まり、適切な材質選定が不可欠です。また、使用前点検の未実施や、作業者が正しい使用法を理解していないまま作業することも重大事故につながります。現場では、日常点検チェックリストや使用前確認を徹底し、定期的な安全教育を行うことで、これらのリスクを大幅に軽減できます。

製品・サービス紹介|ハセガワ製はしご・脚立の特長と導入事例

特長|国際規格適合と現場ニーズに応える製品群

ハセガワのはしご・脚立は、現場の多様な安全要求に応えるため、国際規格への適合と独自の品質管理を両立しています。まず、EN 131適合により150kgまでの耐荷重性能を保証し、プロ仕様の過酷な現場にも対応します。また、電気設備周辺作業に不可欠な非導電性FRPモデルをラインアップし、感電リスクを低減します。さらに、日本国内で培われた精密な製造技術を活かしたJIS準拠製品の供給も可能で、寸法精度や耐久性において高い評価を得ています。

加えて、現場ごとの段差やスペース制約に応じた特注脚立・作業台を設計・製造できる体制を整えており、使用環境や作業効率向上に直結するソリューションを提供します。これらの特長はすべて、長年の安全設計ノウハウと現場フィードバックの蓄積によって支えられています。

導入事例|安全性と作業効率を両立させた改善例

電子部品を製造するある工場では、高所作業中に発生する感電や墜落のリスクが課題となっていました。導入前の状況では、導電性のアルミ脚立を使用しており、電気設備近接時に安全距離を確保しづらく、また作業者による角度や設置方法のばらつきが原因で小規模なヒヤリ・ハットが頻発していました。

対応策として、ハセガワ製の非導電性FRP脚立を導入し、併せてQCVN 23適合の墜落制止器具(フルハーネス+ランヤード)を全員に支給。使用方法の安全教育と日常点検チェックリストの運用もスタートしました。

導入後では、作業停止時間が従来比で約30%短縮され、6か月間の稼働で軽微災害はゼロを維持。現場責任者からは「安全対策が作業効率向上にも直結することが実感できた」との評価を得ています。

ハセガワの信頼性|品質・安全サポート体制

品質管理・認証|確かな製品性能を裏付ける試験と適合宣言

ハセガワでは、製品出荷前に全数の受入検査を実施し、寸法の精度や荷重耐性を確認します。特に、耐荷重試験ではEN 131規格に準拠した150kg試験をはじめ、JISやANSIの要件に沿った負荷試験も行い、適合宣言書としてお客様に提示可能です。また、製造プロセス全体でISO 9001(品質マネジメント)やISO 14001(環境マネジメント)などの国際認証を取得・維持しており、品質保証と環境配慮の両面から信頼性を確保しています。

特注対応・サポート体制|現場条件に合わせた最適提案

現場ごとの作業条件や安全要件に合わせ、採寸から設計・製造までを自社で一貫対応します。例えば、段差や限られたスペースに適合する特注脚立や作業台を設計し、QCVN 18に準拠した安全な設置計画を提案します。納入後も、使用マニュアルや教育用資料、日常点検票を提供し、現場スタッフの安全教育と保守点検を長期的にサポートします。

まとめ|安全基準の理解と現場実践で事故ゼロを目指す

本記事では、ベトナムにおけるはしご・脚立の安全使用に必要な要素を、法令・規格・教育・点検という4つの軸で整理しました。法令(QCVN)と現場運用の整合性国際規格に基づく製品選定定期的な教育と日常点検の徹底が事故ゼロへの近道です。

ハセガワでは、現場の高さや周辺環境(電気の有無)、使用頻度などの条件をお知らせいただければ、最適な仕様(材質、耐荷重、寸法、付属安全装備)をご提案します。安全性と作業効率を両立するため、ぜひお気軽にご相談ください。