はじめに
ベトナムの建設・製造現場において、高所作業中の転落事故は依然として深刻な課題です。ベトナム労働傷病兵社会省(MOLISA)の最新データによると、2024年の労働災害による死亡者数は727名に達し、前年から28名増加しました。特に建設業は死亡事故が最も多い産業の一つとして挙げられており、その主な原因の約46.9%が「雇用主側の安全管理不備」に起因しています。
「たかが脚立、されど脚立」。現場管理者や安全担当者の皆様にとって、正しい知識と適切な道具選びは、従業員の命を守る投資に他なりません。本記事では、長谷川工業(Hasegawa)の70年にわたる安全の知見に基づき、現場から寄せられる「よくある質問」に専門的な視点から回答します。ベトナムの現場管理者必見。梯子・脚立の選び方から、天板に乗ってはいけない物理的理由、交換時期の目安まで、よくある質問にプロが回答。JIS規格とHasegawa独自の安全基準に基づいた知識で、高所作業の事故を防ぎましょう。Hasegawa Vietnam公式。【選定編】現場に最適な製品の選び方は?
Q1: 「はしご」と「脚立」の使い分け基準は?
基本として、作業場所の状況と高さによって使い分けます。「脚立(Stepladder)」は自立する構造を持ち、壁面がない場所でも使用可能です。一方、「はしご(Ladder)」は壁に立てかけて使用するため、より高い場所へのアクセスに適していますが、設置角度(75度)の厳守が必要です。
JIS規格(日本産業規格)やHasegawaの基準では、脚立は「天板(一番上の段)に乗ってはいけない」という大原則があります。そのため、必要な作業高さに対して、天板の高さが十分余裕のあるサイズを選ぶ必要があります。
Q2: 作業高さに対して、どのサイズの脚立を選ぶべきか?
「有効高さ」を基準に選びます。脚立のサイズ表記(天板高さ)と、実際に安全に作業できる高さ(有効高さ)は異なります。
天板に乗ることは禁止されているため、天板から2段目(約60cm下)が実質的な最上段の作業床となります。
- 計算式: 必要な作業高さ - 作業者の身長 + 余裕分 = 必要な有効高さ
例えば、天井高3mの場所で作業する場合、身長170cmの作業員であれば、約1.5m〜1.8mの有効高さを持つ脚立(天板高さ2.1m〜2.4mクラス)を選定するのが安全です。
Q3: ベトナム(TCVN)と日本(JIS/SG)の安全基準の違いは?
ベトナムには国家標準であるTCVNが存在しますが、市場には安価で基準を満たさない製品も多く流通しています。一方、Hasegawa Vietnamの製品は、日本のJIS S 1121(アルミニウム合金製脚立及びはしご) や、世界的に厳しいとされるSGマーク(Safety Goods)の基準に準拠して製造されています。
ダナン工場で製造される製品は、日本やアメリカ(ANSI規格)、香港といった厳しい市場へ輸出されており、その割合は生産全体の約99%を占めます。つまり、ベトナム国内でHasegawa製品を選ぶということは、グローバル基準の安全性をそのまま現場に導入することを意味します。
【安全・使用編】事故ゼロを目指す正しい使い方は?
主要データ:ベトナムの労働災害とHasegawaの品質基準
- 2024年ベトナム労働災害死者数:727名(前年比+28名)
- 事故原因の雇用主責任割合:46.9%
- Hasegawa Vietnam設立:2013年12月2日
- 日本への輸出割合:40.89%
- 品質試験頻度:月250回以上(グループ全体)
引用元: VietnamPlus, Hasegawa Vietnam Report
Q4: 脚立の天板(一番上の段)に乗ってはいけない理由は?
物理学的な「重心」と「バランス」の問題です。天板に乗ると、作業者の重心位置が高くなりすぎ、脚立の支持基底面(足元の広がり)に対して不安定になります。この状態で少しでも横に身を乗り出すと、転倒モーメントが働き、脚立ごと倒れるリスクが激増します。
Hasegawaの「シャガマン」シリーズなどは、天板に乗らずとも作業しやすいよう、膝当てとなるバーを装備するなど、設計段階でこのリスクを回避しています。
Q5: 「3点支持」とは具体的にどういう状態か?
昇降時は常に、四肢のうち3点を梯子や脚立に接触させる「3点支持(Three Points of Contact)」のルールを厳守してください。
- OK:両手と片足、または片手と両足が接している状態。
- NG:両手に荷物を持って昇る(支持点なし)、急いで昇り降りする(2点支持になりがち)。
荷物はツールベルトを使用するか、ロープで引き上げるようにし、手は常に昇降のために空けておくことが鉄則です。
Q6: 脚立の開き止め金具は必ずロックする必要があるか?
はい、必ずロックしてください。「開き止め金具」は、脚立の足が開いてしまったり、逆に閉じてしまったりすることを防ぐ重要な構造部材です。ロックを忘れると、昇降時の振動で脚立が不意に閉じ、転倒する事故につながります。Hasegawa製品は、ロック忘れを防ぐための視覚的にわかりやすい金具や、ワンタッチバーのような安全機構を採用しています。
【保守・管理編】製品寿命とメンテナンス
Q7: 梯子・脚立に「寿命」はあるか?交換時期の目安は?
アルミニウム製のはしご・脚立の寿命は、使用環境や頻度によりますが、一般的に適切なメンテナンス下で5年〜10年程度と言われています。しかし、ベトナムのような高温多湿な気候や、屋外でのハードな使用環境では劣化が早まる可能性があります。
年数だけでなく、以下の症状が見られたら「即交換」のサインです。
- 支柱やステップの変形、曲がり
- リベット(接合部)の緩みやガタつき
- 滑り止め端具(ゴム足)の摩耗や紛失
Q8: 日常点検ではどこをチェックすべきか?
始業前点検では、特に「足元」と「接合部」を確認してください。滑り止めゴムが摩耗してリベットが露出していると、滑って転倒する原因になります。
Hasegawaグループでは、週5日・1日100回の昇降を想定した10万回以上の耐久試験を実施しており、この過酷なテストをクリアする耐久性を持たせていますが、日々の点検が安全の最後の砦であることに変わりはありません。
長谷川工業(Hasegawa)の品質へのこだわり
Q9: なぜハセガワの脚立は「揺れない」と言われるのか?
それは、数値データだけでなく「人間の感覚」を検証プロセスに取り入れているからです。Hasegawaには「乗ればわかる、頼もしさ」という製造哲学があります。
JIS規格の荷重試験をクリアするのは最低条件です。それに加え、ダナン工場を含む世界4カ所の試験センターでは、開発者が実際に製品に乗り、数値には表れない微細な「揺れ」や「音」、「たわみ」を徹底的に排除しています。この「感覚的な品質」こそが、日本のプロ職人に長年選ばれ続けている理由です。
Q10: ベトナムで購入できる製品ラインナップは?
Hasegawa Vietnamでは、プロフェッショナル向けの強靭なラインナップから、デザイン性を重視したモデルまで幅広く展開しています。
- BLACK LABEL:揺るぎない強さを誇る、プロのための最高峰シリーズ。
- 脚軽(Ashigaru):「軽くて丈夫」を体現し、持ち運びの負担を軽減。
- lucano:リビングや店舗のインテリアにも馴染む、デザイン賞受賞シリーズ。
これらはすべて、ベトナム・ダナンの工場で、日本のマザー工場と同じ厳格な品質管理のもと製造されています。
まとめ
梯子や脚立は、単なる道具ではなく、高所という危険な場所で作業者の命を支える「足場」です。2024年の労働災害データが示す通り、安全への投資を怠るコストは甚大です。
ベトナムで製造され、日本やアメリカの厳しい現場で鍛え上げられたHasegawaの製品は、皆様の現場に「安心」と「安全」を提供します。正しい選定と使用方法を守り、無事故の現場を実現しましょう。
製品の導入相談や、具体的な安全講習のご依頼については、Hasegawa Vietnamまでお気軽にお問い合わせください。